初のレフティーでのマスターズチャンピオン、マイク・ウィアのスウィングに思う。<2003.4.24記>

マイク・ウィアがプレショット・ルーチンとして行うテークバックの半分位に相当するこのパフォーマンスは彼独自のものだ。
初めて見た時は随分と奇異に映った。我々が今までに見慣れて来たものは、インパクトのリハーサルであるワッグルや、始動としての役目を持つフォーワードプレスのグリップを少しハンドファーストにしたり、右膝を飛球線方向に僅かに押しこんだりする比較的小さな動きであった。
同じアメリカのLPGAで活躍中のキャリー・ウェブがテークバックの始動50センチ位に相当するパフォーマンスを採り入れている。意図する所は同じであろう。
プロのトーナメント会場の練習場で良く見られるのは、テークバックのチェック、自分のイメージと一致したテークバックが取れているかどうかを後方に立たせたキャディに確認させている光景である。
一昔前の名プレーヤーであるレイフロイドやナンシーロペスに見られる独特のテークバックが懐かしい。彼等なりにトップを固めるために苦心の末に辿り着いた形であろう。 
最近のプロの傾向としてスウィング作りの段階でテークバックから拘る所為か、スウィングが皆オーソドックスに成って来ている様に思う。
スウィングアーク及びスウィングプレーンとの関連を保ちながらのグリップの動き言わばグリップアークとも言うべきものは、胴体部の回旋、左腕のロールオーバーとコックを始めるタイミングによって決定される。
マイク・ウィアが行っているテークバックは、グリップアーク・スウィングアークが滑らかな形で行われ最後にコックが来て反動を上手く使えるような形と成るものと思う。
スウィング中のシャフトの動きを観察して見ると、グリップエンドがスウィングプレーンに載って来るのはトップ寸前で良いのではないだろうか。
ダウンスウィングでは逆にグリップエンドは殆どインパクトまでスウィングプレーン上にある。行きと帰りでクラブシャフトの動きには大変な違いがある。
ベンホーガンは、テークバックの持っていき方は大変なテーマであると「モダンゴルフ」の中で述べている。
或る著名なティーチングプロは「プロはトップまでは色々な到達の仕方があるがダウンは皆同じ」と言っている。
マイク・ウィアが理想のスウィングプレーンを作り上げる為に到達した、究極のパフォーマンスと思われる。