トムソンナショナルCCでのオープンコンペと86歳のスーパーゴルファー飯塚鉄雄先生

トムソンナショナルカントリークラブ(今後TNCCと略)でのオープンコンペ「昭和の日杯」と86歳のスーパーゴルファー飯塚鉄雄先生
4月29日(日)に、TNCCで行われた前述のコンペに、日本ゴルフ学会の重鎮をお誘いし、これ以上ない好天に恵まれ、充実ゴルフを楽しんだ。色々な意味で学ぶ事の多い、大変意義深い一日であった。
我がパーティーのメンバーは、都立大学名誉教授の飯塚先生・元聖マリアンヌ医科大学の助教授で、「ゴルフと健康」のテーマでよくTVで啓蒙講演をされていた吉原神先生(現在は毎年日本ゴルフ学会の行事であるコミュニティカレッジ開講に尽力されている。)・現役ばりばりの愛知みずほ大学の心理学教授の加藤象一郎先生(最近お二人でゴルフの科学の研究を精力的にされている。)と不肖Mura-Qで、そうそうたるインテリゴルファーのお仲間に入れて頂いた。
腕前の方は、飯塚先生は後に詳述、元来体育の先生で、現役を退いて間もない吉原先生が、スクラッチプレーヤー、加藤先生は、長身で無理のない、きれいなスウィングをされるが、流石に現役で本職がお忙しいので、大体90前後で回られるとお見受けした。斯く申す小生は、この所低迷気味で100を切るのに四苦八苦といった状態である。
飯塚鉄雄先生は、初代日本ゴルフ学会会長で本年8月19日に86歳になられる。エージシュートをすでに2回達成され、ドライバーの飛距離は220-230ヤード平均で、私など常に30-40ヤードは置いて行かれる。先生は都立大学名誉教授で、長い事教育界、体育界等に貢献され、現在の斯界の指導者達の中に教え子が多数いらっしゃる。途中浜田山にある東京ゴルフ専門学校のやはり初代校長、最後は中京女子大学副学長を勤められた。豊富な体験に基づいた老練なるプレーをされ、普段の平均スコアは90前後との事であるが、尤も驚嘆すべきはそのドライバーの飛距離である。それは高齢にも拘らず、並々ならぬ日頃の節制に基づいたものであり、到底余人に真似られるものではない。心身のポテンシャリティーの高さの上に、先生の経歴が示す様に、長年スポーツバイオメカニクスに深く係わって来られ、それをご自身のスウィングに見事に取り入れられている事が、最も素晴らしい事であると思う。理論と実践の見事な一致である。生涯ゴルファーを目指す人たちの鑑と申すべきでしょう。
じっくりスウィングを観察させて頂いたが、人間工学的に見てスウィング全体が、とても86歳の方の身体の使い方ではない。トップでは背中が丸見え、フィニッシュではクラブヘッドはシャフトが飛球線方向を向く所まで行くのである。とてもシニアのスウィングではありません。今をときめく20歳前後の女子プロのスウィングそのものなのです。この辺は常人には手本とするには、あまりにも隔たりがあり過ぎるのです。日常の肉体改造から取り掛からねば成りません。私が先生のスウィングから、幾つか、真似の可能な理屈を発見しました。4つあります。
まず第一にトップで両脇がしまっていて、両前腕のなす角度が50度位に納まる事です。この事はヘッドが決して開かず、ボールが掴まり易くなり、クラブヘッドのためが十分に取れる事に繋がると思います。次にトップでの間が絶妙です。最近アメリカのチャンピオンツアー・レギュラーツアーの両方のトーナメントで活躍中のジェイ・ハースの間の取り方にそっくりです。一瞬一見止まったかのように見えるのです。あの間の中で、神経筋腱複合体が巻き上げる態勢から巻き戻す態勢にスウィッチングされ、タイミング良く躯幹部から徐々に巻き戻ってインパクトに向かって行くのです。まさにテンポ・リズム・タイミングが連続性を持ってハーモナイズされているのです。これらはその場で考えて出来る事ではなく日頃十分に時間を掛けて身体に覚えこませて、初めて可能となるパフォーマンスであると思います。3番目にバンプ(二クラウスの言うツイスト・スライド・アンドターンのスライドの部分)をしっかりと使って、十分に体重移動がなされている事です。そして最後にフォローでのリコック(テークバックのコックと対照的にフォローで両手首を上手く畳み込んで行く事)がスムースに行われて大きなフィニッシュをバランスよく作り上げておられるのです。これらのポイントが総じて、極めて加速性のあるヘッドスピードを生み出し、年甲斐もない(失礼!)飛距離が出るのだと、私なりの分析をしました。
飛ばない私としましては、今後の練習課題とさせて頂き、少しでも飛距離を伸ばそうと思います。大変良い勉強になり、有難う御座いました。
因みにコンペでの成績(新ペリア)は吉原先生が、36.38でベスグロ逃しの5位、飯塚先生が48・43の6位でした。
追記
日本ゴルフ学会とは、ゴルフ全般(歴史・スポーツバイオメカニクス・技術・心理学・芝草学・指導等などゴルフのあらゆる分野)を科学する学会です。
ゴルフコミュニティカレッジとは、知的ゴルファーを養成し、日本のゴルフ文化の質的向上を意図して、日本ゴルフ学会が企画した公開講座で日本ゴルフ界の各分野の著名人を講師に迎えて開かれています。
詳しくお知りになりたい方は下記URLにアクセスして見て下さい。
〇日本ゴルフ学会:
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsgs/
〇ゴルフ・コミュニティカレッジ:
http://www.fosg.jp/lecture/gccollege.htm
http://www.golfsuki.net/gcl/

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