ゴルフの科学について

日頃Mura-Qの「ゴルフの科学」に対する考えの一端を述べて見たい。
〔ゴルフの研究の一提言〕
これからは多分野の専門家がそれぞれの知識を持ち合って、コラボレートした研究が行われなければ成らないと思う。
プロのゴルフスウィングの人間工学的合理性を探る。多種多彩多様の科学の集結が必要である。一口にプロと言っても、それぞれにそれなりの根拠が考えられる。勿論共通部分もあるが特色を生かしたいろいろなタイプのプロがいる。例えばもっとも正統派の二クラス・ビジェーシン・トムワトソン・中島常幸・伊沢利光・岡本綾子・パティーシーハン等、ユニークな所ではアーノルドパーマー・リートレビノ・チチロドリゲス・ナンシーロペス・青木功・杉原照雄など、タイガーウッズは別格で身体能力が他に類を見ないので一般論には当てはまらない規格外のスウィングと言えるのではなかろうか。
英国で20世紀中盤(1960年代初め)にゴルフの科学について、各界の権威の共同研究が行われた。そのまとめ役が、R&Aに所属していたアリステア・コクラン氏である。その研究業績に基づいて、出版されたThe search for the PERFECT SWINGと言う「ゴルフの科学」の古典的名著にあるような事を現代のハイテク機器を使って多角的に研究したらスポーツのパフォーマンス研究の基礎となり得る。
各企業の持ついわゆる企業秘密に相当するデータを公開したら大変なデータバンクになるのではないだろうか。
パフォーマンスの解析として最も適したスポーツと言える。静的・再現性が高い等から。
こうした研究は実践的研究であることが大切で現場とのフィードバック体制が無ければならないし、人・物・金が当然必要となる。
将来的にはスウィング指導・自己のスウィングへの認識・スランプからの脱出の補助・練習の方向性を理解・スウィングの本質を理解した上で練習に取り組める・トレーニングのあり方の根拠となり得る・他のスポーツのパフォーマンスの分析の基礎となり得る。ひいては日常の人間の動作の解析にも有益である。
〔ゴルフ研究テーマ〕 
*ゴルフスウィングの人間工学的考察―:アドレスの筋電図・受動筋力・バランス・動作解析・軸心の移動・支点と回転軸・バンプ・-現場に密接な関係を有するテーマ:お互いがフィードバックし合える研究テーマが望ましい。
*ヘッドスピードについて:10センチ間の平均(加速されていく場合・減速されていく場合。)
時間をプラスしてもの。プロアマの比較。素振り中に、フォローで音が聞えるスウィングとは?最近言われているインパクトスピードとは?
*スウィングの各フェーズ・各相(プレショットルーチン・ワッグル・アドレス・テークアウェイ・ハーフウェイ・トップ・切り替えし・ダウンスウィング・ハーフウェイ・インパクト・フォロー・ハーフウェイ・フィニッシュ)を三次元解析(動作学的・形態学的・時間的推移も含めて・タイミングの問題・関節の角度変化)・解剖学的(運動器全体からの分析)・筋生理学的(筋電図・isometric contraction, eccentric contraction・反動バネ作用)力学的(重心移動・フォースプレート)・ロボット工学的・心理学的などの各側面から考察を加えて見たい。相互研究により、興味深い新たな考え方が浮かび上がって来るに違いない。
*ゴルフスウィングにおける肩甲帯関節・骨盤と両股関節の役割
*インパクトの1万分の4秒の世界を探る。ボールの形態的変化・フェイスの軌道・フェイスの時間的変化・ボールの弾道の運命の決定(超ハイスピードカメラ)
*スウィングセンター・スウィングプレーン・スウィングアーク・クラブヘッドの軌道・フェイス面の変化方向性等がボールの飛びの決定因子である。
プロアマ・球筋・男女の差など。それぞれへの人体構造の対応(身体各関節の変化)。
*スウィングは支点と支点の回転軸とで成り立つ円弧運動が基本である。スウィングアークと最下点・ボール位置・アッパーブロー・レベルブロー・ダウンブロー等の関係
*スウィングプレーンと支点(頚椎部分) の回転軸が直交する事の合理性
*コック・コイリング・体重移動・ツイストスライドアンドターン(バンプ)-股関節の乗り変わり・股関節の移動等の分析
*スウィングの軸(回転軸・捻転軸)・脊柱・2軸説・骨盤の動き・股関節の役割
*コックの方向:インパクトより前は左肩関節・インパクト中・インパクト後フォローの初期に微妙なグリップ(リスト)の変化が起こりリコック(フォロー後半に行われる手首の折り畳み)は右肩関節方向に行われるのではないだろうか。ここにヘッドスピードの上がる秘密は隠されているのではないだろうか。(遠心力が関係) 所謂ライン出しショット(パンチショット・ノックダウンショット)はフェイス面が変わらずスウィングアーク上を直角に動いて行くのでは。その為には両手首・両肘はどう作動しているのか。
*ヘッドスピードを上げるコツ。力学的(スウィングアークの大小・回転モーメントの問題・角運動保存の法則・タメ・くの字の力学・ボディーターン-力源となる下半身・躯幹部筋-ベタ足打法-の効果的活用・二重振り子の順次活用・上半身の脱力(所謂「力を抜く」)・躯幹部は筋力を働かせるのに、上半身は筋力を弛緩させねばならないジレンマ(メンタル面のコントロール)・バランスおよびタイミングの問題・マッチング・腕力・股関節の内旋力・筋力と速さ・プロの言う「腰を切る」)・関節可動域(ROM)・筋肉の反動バネ作用・遠心力
*くの字の力学:左上肢とクラブシャフトによって作られるくの字が形成される。その連結点のグリップでのヒンジ運動(コック)の有無(ノーコック打法)に拘わらず、くの字に左上肢の回旋が加わる事によって、クラブヘッドのスピードは左右される。―野球における打撃動作・投球動作にも同じメカニズムが関与していると考えられる。
*パッティングの科学:理想のインパクト・ボールの転がり(順回転・逆回転)・ヘッドの軌道・ロフトの状態・タイミングの問題・パッティングのポスチャー・支点と回転軸・頚椎胸椎上部の傾斜・水平化・パッティングのスウィングプレーン・長尺・中尺・クロスハンドグリップ・スプリーットハンド・クローグリップ・レバーアームの長短・青木式パット(ダウンブローにヒット・リストパッティング)プッシュパッティング・スウィープ式・タップ式・アッパーブロー・ダウンブロー・レベルブロー・振り子運動(円弧運動)・直線運動(人間の特殊能力)・イップス・メンタル要素
*パッティングはスウィングの基本である。頚椎を支点とする振り子運動が基本(パッティングではダイアモンド・六角形の保持・スウィングでは二等辺三角形・スモールy・逆スモールyの保持)
*グリップの把握力:アイソメトリック筋収縮(等尺性筋収縮)・受動筋力・受動筋収縮-小鳥を握る感覚
*アドレス:無理な力を入れない。力まない。リラックス(アイソメトリック筋収縮・等尺性筋収縮)
* アプローチのメカニズム:アドレス・重心・体重移動・バンプの程度・骨盤の動き・左股関節の回旋・シャンクのメカニズム・リストアプローチ・ボディーターンアプローチ
*飛距離と体重との関係:ソップとアンコ
*重心の分析:重心移動・軸(脊柱)を固定して捻転すれば、必然的に右足寄りから、左足寄りに移動する・
*傾斜地のショットの分析:重心・軸の設定の仕方
*ゴルフ用語の検証・データバンクの確立
*従来から定説となっている事象の再確認検証
*パフォーマンスの最終決定はメンタルで、どのように関与し、どうコントロールされるべきか。稽古場横綱からの脱却。
*仮説を提起し、その真贋を究明して行く。
* 同一テーマを同時に幾つかの機関で行う。同一手法・異なった手法で同一結果が生まれれば、信憑性が高い。
* 研究テーマ:それぞれの研究機関に相応しい(人物金の設備程度に応じた)テーマがある。
以上やや羅列的な記述に偏したが、大要を御理解頂ければ、幸いである。

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